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海外からは、日本人のことをよく働き過ぎと言われたり、過労のニュースが次々と出てきます。最近では、働き方改革で変化はしていると聞きますが、それでも労働時間の変化をさほど感じていない方も多いのではないでしょうか?
実際に、海外と比べて働き方の体制の違いはあるのでしょうか?日本と比較しながら北欧のフィンランドの働き方について説明していきます。
フィンランドでも個人差があって、誰しもが必ずこちらの記事で記載しているように働いているわけではありませんが、最も一般的なことを説明していきます。
契約に書かれている労働時間は実際の勤務時間
フィンランドでフルタイムの仕事をしている人の勤務時間で一番多いのは、8時間です。加えて、1日で働ける最大の勤務時間も8時間です。一週間では40時間まで働いて良いというルールがあります。週5日で、1日8時間働くのが一般的となります。
そして、日本の法律と同じように、もし8時間を超えたら残業と呼びます。残業は普通の給料に加えて、残業代をもらいます。基本ルールは次の通りです。
- 残業になると最初の2時間で給料の50%の残業代が出ます。1時間の給料が1,000円だったら、1時間の残業に対して1,500円もらいます。
- 残業は2時間を超えた場合、100%の残業代をもらいます。時給が1,000円の場合、2時間以上の残業だと1時間2,000円もらいます。
- 毎週残業があったらさらに50%の残業代をもらいます。
- 日曜日に仕事したら働いた時間に関係なく時給の100%のボーナスが付きます。給料が2倍になるということです。
- 残業が多すぎたら会社への罰金などが科されてしまいます。
人、会社、職種によって少し異なるルールもありますが、一般的には上記の通りです。
私は以前、遊園地でバイトをしたことがありますが、あまりにも忙しい日に残業になったことが少しだけありました。時給が6ユーロほどと低かったので残業代が嬉しかったことを覚えています。日曜日の給料が、いつもの2倍なので特に日曜日の残業は嬉しかったです。(笑)
フィンランドでは残業がほとんどない
私は日本のことに興味を持ったきっかけはテレビドラマでした。恋愛の話などに集中していましたが、仕事の話になったら残業の場面が多くて驚いたことを覚えています。特に説明もなく当たり前のように残業をしているキャラクターが次々に出てきて、フィンランド人の私にとって説明してもらいたいくらいでした。
どうして残業するの?この登場人物は何かすごく大変な仕事をしてるのかな?個人事業主だからずっと働かないとダメかな?会社がブラック企業なの?といったような質問が頭に浮かびました。残業をする理由が理解できなかったです。
フィンランドでも残業はもちろんありますが、毎日のように当たり前に残業をすることは普通ではありません。何か特別な理由、大切なプロジェクトや特に忙しい時期でなければ残業は基本的にありません。忙しい時期でも、決められた勤務時間内に効率よく働くことで、できる限りに仕事を終わらせることを目指すのが基本です。
ほとんどのフィンランド人にとって、残業は当たり前ではなく、例外です。
仕事から帰る時間が早い
フィンランド人の一般的な勤務時間は8時から16時までです。9時から17時までの人もいますが基本は午後の4時までです。なので、仕事は午後4時までで残業もなければ、帰る時間も早いと言えるでしょう。
帰る時間が早い理由のもう1つは通勤にあります。フィンランド人の通勤距離と通勤時間は日本の平均より短いです。
研究結果によると、フィンランド人の平均通勤距離は10キロメーターくらいです。車で通勤する人は平均12分程度で着くそうです。私の知っている人のほとんどもおよそ5〜10分程度で職場に着きます。小さな町に住んでいたら車じゃなくても、自転車で10分あれば着いてしまう人が多いと思います。
首都地域に住んでいる人だけを見ても、平均的な通勤時間は片道15分程度だそうです。ただ、首都地域で公共交通機関を使って通勤する場合に、家から職場までの時間の平均は35分くらいと少し長めです。ちなみに、自転車での通勤だと首都地域の平均が25分なので自転車で行った方がもしかすると早いかもしれません。
この数字に対して、日本での平均通勤時間は片道40分くらいです。東京都圏内の平均労働者の通勤時間は片道50分程度です。フィンランドに比べて極めて通勤時間が長いということです。
会社より従業員が強い
日本にも勤務時間や残業代について、フィンランドと似た法律があります。それなのに、どうしてフィンランドの方が残業が明らかに少なくて、残業代が出ないことが絶対にないという状況なのでしょうか?
実は、フィンランドでは労働組合などがとても広く活動しています。会社と何かの問題があったら労働組合に連絡すれば解決してくれます。会社のことを労働組合に文句を言った結果として仮に解雇されたとしても会社を訴えることもできますし、かなり高い確率で従業員の勝ちになって終わります。
日本ではあまり聞かないと思いますが、フィンランドではストライキもあります。ストライキが特に多いのは、規約が新しくなる時期です。ある業種の最低賃金や労働時間などを相談しているときに、従業員にとってよくない条件になりそうなときはストライキを起こします。何かに反対しているから仕事をしないということです。ある意味で脅しとも言えるかもしれません。
私は生まれてからいくつかのストライキを見てきましたが、去年の郵便局の長いストライキが一番記憶に残っています。郵便局の従業員の給料や福利厚生などを色々な手段で悪くなりそうだったので、2週間以上のストライキになりました。郵便局が求人サイトやサービスで仮の従業員やアルバイトを雇うようにしていましたが、荷物の配達に関して大きな影響を与えています。半年が経った今でも郵便局に影響を与えています。
郵便局のストライキのように、このような状況が長引いてしまうと会社や社会への影響が大きくなる可能性があるのでストライキになったら決定権がある方に有利に働きます。ストライキは従業員の給料や権限を守るために大切なことです。
ワークライフバランスを大切に
日本では就職活動という言葉があるほど、就職が大切ですよね。大学を卒業する前から一生懸命に仕事に応募して、面接に行ったり、必ず就職できるように頑張る人が多いです。どんなに頑張っても仕事に就くことができない人は落ち込んでしまったり、精神的にとても辛い思いをしてしまいます。
そのような人たちに伝えたいのは、仕事は人生の全てではないということです。フィンランドでも仕事に就くことが大切ですが、フィンランド人の多くが同じことを言うと思います。
フィンランドでは仕事とオフタイムのバランスをとても大切に思う人が多いです。会社や国から見ても、人に無理しないで欲しいのです。職場での「ウェルビーイングデー」と呼ばれる日などもありますし、従業員を無理させないために休憩や年間の休みをしっかり取るように定められています。フィンランドでは年間で与えられた有給休暇を使わない人はいません。
日本では平均年間休日は120日前後と言われています。フィンランド人は平均で1ヶ月に21日間働いていますが、年間有給休暇は24〜30日程度なので働いている日は222〜228日になって、休みの日は平均で137〜143日になります。要するに、フィンランド人の平均年間休日は日本より17日も多いです。
さらにもう1つですが、フィンランドでは「ワークシェアリング」というシステムがあります。20年間以上働いている場合、100日〜180日間仕事から休みを取ることができます。休みを取った人の代わりに会社が無職の人を雇います。決まった期間が終わったら、再び仕事に戻ります。休みを取った人はこの間、失業手当をもらいます。
私の親戚の人はちょうど今ワークシェアリングをしています。医者でとても多忙な仕事なので、疲れてしまったことを理由に職場の健康診断の医師と相談した結果、ワークシェアリングをすることに決めたそうです。
さいごに
フィンランドと日本の働き方を比較してみましたが、いかがでしたか?
日本人は働きすぎとは言いませんが、少なくともフィンランド人より多く働いている人が多いですね。ただ、最近は日本でもフレックスタイムやリモートワークも増えてきて、ワークライフバランスの話も以前より多くされていると思います。近い将来でも、日本人ももっと楽に働けるようになるかもしれません。
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