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フィンランドの夏祭り「ユハンヌス」の伝統と食べ物

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フィンランドでは夏の夜が明るく、ラップランドでは日が沈まない白夜も経験できます。その明るい夏の間では、いつもよりもたくさんフィンランド人が外で時間を過ごし、夜の遅い時間まで外でパーティーをすることがよくあります。その中でも最も重要なお祭りがあります。それは、6月の上旬に行われる夏至祭、「Juhannus」(ユハンヌス)という夏祭りです。

ユハンヌスに関連する伝説やおまじないのようなこともたくさんあるので、祝い方とその伝説についても紹介していきます。そして、もしユハンヌスをフィンランドで祝うチャンスがあった時のために、日本人もフィンランドの夏祭りを最大限に楽しめる方法について説明していきます。

ユハンヌスとは何か

ユハンヌスは夏至の時期に開催されるフィンランドの夏祭りです。夏至が北半球で一年の最も昼の時間が長い一日を示す日です。要するに、明るい時間が一年で一番長く、夜は一年で一番短いのです。現代ではちょうど夏至の日にユハンヌスを祝うという訳ではないですが、白夜に近いことから「白夜の祭り」とも呼ばれています。

日本の首都東京では真夏でも日の入りは6〜7時ごろで、夏の夜も暗くなります。これに対して、北フィンランドのロヴァニエミでは今の季節の日の入りは夜中の0~1時ごろです。日の出は非常に早く、夜中の2時ごろなので多少は暗くなってもほんのひと時だけです。フィンランドの夏の夜は明るくて不思議で幻想的でもあり、真夏の夏祭りになったら外にいたくなる理由は納得いくでしょう。

昔の風習からの由来

ユハンヌスは元々、作物が豊作であるようにという意味で祝われていました。フィンランドの古い伝統の「Ukko」という神様を敬うための祭りでした。「Ukko」は収穫物に必要不可欠な雨を作ってくれるという信仰があったので、雨が降るようにお祭りを祝わなければなりませんでした。このため、一部の地域では1800年代までユハンヌスは「Ukon juhla」(ウッコの祭り)と呼ばれました。

ちなみに、現代のフィンランドで「ukko」という言葉を言うと神様ではなく、おじさんと言う意味だと捉える人がほとんどです。

農家以外にも、ユハンヌスは色々と昔からの伝統があります。ユハンヌスの時に占いをすると当たるということやユハンヌスの時に魔法を行えば結婚できるようになるなどといった伝説がたくさんあります。現代まで残ったのは特に恋愛運や結婚運に関連する占いや魔法術です。

フィンランドの夏祭りの伝統的なおまじない

古くからの伝統の中では消えたものや、昔の意味が忘れられたものが多い中で、なぜか恋愛に関連するおまじないがいまだにフィンランド中で意外と知られています。私も子供の頃にこのおまじないをいくつかやってみたことがありますので、少しだけ紹介していきます。

フィンランドの夏祭りの花束

花を7種類集めて枕の下に置くと将来の結婚相手が夢に出る

フィンランドの夏祭りが起きる6月上旬にはフィンランドの平野や道のすみっこに花が多く咲いていています。頻繁に綺麗に咲いている花を見るからなのか、花に関わるおまじないがとても多いです。その中でも7つの花を集めるおまじないの伝説が一番有名だと思います。

このおまじないでは、まず花を7種類集めます。そして、花を集めたらその花を自分の枕の下に置きます。夜に眠りについたら、夢の中に将来の結婚相手が出ると言う伝説です。

私も子供の頃にこのおまじないを何度かやってみました。7種類を集めるのが難しそうだと思ってしまう人がいるかもしれませんが、田舎に住んでいたので自然に咲いている花がとても多く、逆に多くの種類の中から7つだけを選ぶのに悩むほどでした。花が綺麗でとても楽しいおまじないですが、そのまま枕の下に入れたら夜中に突然虫が出てくるのではないかと心配になって、いつも袋に入れていました。

袋に入れたことによって効果が薄れたかは分かりませんが、将来の旦那さんの夢を見たことは一回も記憶に残っていません。(笑)

他にも同じようなおまじないがあります。自分で作った花のティアラを枕の下に置いたら上で説明したおまじないと同じように将来の結婚相手が夢に出ると言われています。さらに、夢をなかなか覚えていられない人に良いのは集めた花に名前をつける魔術です。花に名前をつけて、花を枕の下に置いて、朝起きたときに最も元気なままで保った花に名前をつけた人は将来の結婚相手になるだそうです。

井戸、池などを見ると、将来の結婚相手の顔が映る

今までにムーミンのアニメを見た人はいますか?実は、楽しいムーミン一家の第29回、「離れ離れの家族」でフローレン(Niiskuneiti)とヴィルヤーナ(Vilijaana)がこの夏祭りのおまじないをやっていました。水に映った人がいたのも覚えているでしょうか?残念ながら将来の結婚相手ではなく、フローレンとヴィルヤーナの後ろにいたのは、警察官でしたね。

ムーミンのお話の中では、説明したような魔術を取り入れたようて、色々と複雑に花を集めるシーンがありました。ですが、このおまじないは実際にやる時には、とても簡単です。井戸、池、そのほかの水が溜まった場所をのぞいてみると将来の結婚相手の顔が映ると言われます。昔の伝説だと、見る前に井戸を3周巡らなければいけないと言う条件もあります。昔ですが、とてもやりづらいのですが、裸で行うといった条件もあります。

今ではあんまりやってる人はいないかと思います。

私は子供の頃に、この魔術は好きな人と一緒にいるときにできたら本当に水の表面に映る可能性があるなあとロマンチックに思っていました。

カッコウの鳴き声で結婚までの年がわかる

ユハンヌスの夜中にKäki(カッコウ)という鳥の鳴き声を聞いて、鳴いた数によって結婚までの年がわかるというおまじないです。例えば、3回鳴くのを聞いたら、3年後に結婚できます。鳴くのを全く聞かなかったらその年のうちに結婚すると言われています。

フィンランドには他にもカッコウが鳴く回数に関わる伝説があります。カッコウが6回泣いたら10年間幸せだという伝説もあれば、カッコウが鳴いた回数はこれから生きる年の数など、意味がまちまちです。

ユハンヌスの祝い方

上のおまじないは人気だと言っても、現代のフィンランド人にとってユハンヌスのメインは別のところにあります。それは、友達や家族などと楽しく夏祭りを祝うことです。

ユハンヌスはクリスマスの次に大切なイベントだと言っている人が多く、ユハンヌスイブは平日なのに仕事から休みになっている人が多いです。私の母も祭りのイブが休みになっているのはクリスマスイブとユハンヌスイブのみです。

祝い方としては、コテージや別荘を持っている人はそこへ向かうことがとても多いです。フィンランドではコテージを持っている人がとても多くて、夏のコテージの数でヨーロッパでのランキングですと1位だそうです。統計によると、コテージは50万軒以上もあって、なんと10人につき1軒は持っているという計算になります。家族もいると思ったら、コテージを持っている人がとても多いと言えます。

コテージを持っていなければ、借りる人もたくさんいます。私の友達でも、友達の集団でコテージを借りたことがあります。そして、コテージに行かない場合は湖や海辺などで祝うことが多いです。若い人の集団はよく海岸に集まってピクニックをしたり、お酒を飲んだりします。

全体的にも、ユハンヌスではお酒を飲むフィンランド人が多いです。たくさん飲むのが珍しいクリスマスに比べて、ユハンヌスは「お酒の祭り」とも呼ぶ人がいるほど、お酒が一番大切だという人がいます。食べ物は庭でバーベキューをするのが一般的です。ソーセージやステーキ、チキンや焼き野菜などがとてもよく食べられます。

フィンランドのソーセージでいっぱいなグリル

私の場合は今年、上の写真のようなご飯を食べました。ちょうど時期が始まった茹でた新ジャガイモ、グリルチーズ、スイカのサラダ、そしてソーセージです。ソーセージはチーズ味とモッツァレラトマト味で少し特殊です。最近フィンランドでは少し変わったようなソーセージやレアソーセージが流行っていますので機会があればぜひ食べてみてください。ちなみに、お酒が大切だと言いましたが私の場合はコーラだけをたくさん飲みました!

ユハンヌスの焚き火や棒

家族や友達と外で楽しく過ごす以外には、ユハンヌスならではの風習もあります。その中で最も有名だと言えるのは、大きな焚き火の「juhannuskokko」です。ユハンヌスの夜に浜辺に木の枝などを重ねて、夜になって燃やすことを「juhannuskokko」と言います。個人でコテージの庭などでやることもありますが、観客を呼んでに公共の場で燃やすこともあります。

今年は長い間、雨がなくて土も乾燥していましたので「森林火災警報」がついていましたが、夏祭りの直前に大雨になり警報が解除されました。このおかげで今年もユハンヌスの焚き火ができました。

真夏の祭りの焚き火「juhannuskokko」

火災警報がなくても、焚き火の管理が徹底されているので、公共の場で行われる焚き火の場合は消防士が隣にいる時もあります。私は以前、大きな焚き火を見に行ったことがありますが隣に消防車があり、消防士が常に焚き火の隣の池付近で水をかけていました。楽しい焚き火が悲しいことにならないように頑張っていました。

焚き火以外にも色々な習慣があります。特にスウェーデン系フィンランド人が多く住んでいる西フィンランドでは「juhannussalko」という柱を飾ることが大切な習慣になっています。柱に横向きに木を結んで、その木や柱を花や葉っぱが付いているつるで飾ります。町の間ではどの町の柱がいちばん綺麗なのかというちょっとした競争もあったりします。

日本人もユハンヌスを本格的に体験できます!

もし来年、再来年のユハンヌスのときにフィンランドにいたら、主に家族や友達と祝うことが多いイベントなのでどうやって体験できるか悩みますね。

今年はコロナウイルスで多くのイベントがキャンセルになりましたが、実はユハンヌスにはイベントも多く開催されています。海辺でのコンサートなどもあります。お酒などを飲むことで少し気が緩んだフィンランド人といつもより簡単に仲良くなれるかもしれません。フィンランド人はよく、お酒を飲んだら臆病ではなくなると言われるので夏祭りをフィンランド人の友達ができるチャンスだと思ったらいいかもしれません。

もしフィンランド人の友達がいたら、コテージや家などに呼ばれる可能性もあります。フィンランドでは人の家やコテージに行くのはとても普通なことなので、遠慮せずに誘いを受けるのがいいと思います。もし海か湖が近くにあったら水着やタオルを用意したらいいと思います。フィンランド人はユハンヌスによく湖や海、サウナに入るのでそれも楽しめるでしょう。

さらにもう1つ注意点がありますが、必ず日にちを確認してください。フィンランドのカレンダーに書いてある「Juhannuspäivä」(ユハンヌスの日)はイブの次の日で、イベントはすでに終わっています。クリスマスのように最も祝う日はイブなので、その点を忘れないように。

そしてもしユハンヌスを特に祝わなくてもいいと思っていても、フィンランドにいる場合は閉店などを覚悟していてください。イブにもほとんどのスーパーは午後には閉店しますので買い物をするなら早めに済ませておくことをおすすめします。

さいごに

フィンランドの夏至の時期に行われる夏祭りのユハンヌスについての記事でした。日本人にとっても楽しいイベントだと思います。

フィンランド人にとってとても大切なイベントで、美味しいご飯を食べられる上に、様々な伝統やおまじない、焚き火のような風習も楽しめます。もし6月の過ごしやすい天気の時期にフィンランドに来るチャンスがあったら、ぜひ夏祭りに参加してみてください。

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