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フィンランドには公用語が2つあるということは知っていますか?
実は、フィンランドでは公用語として使われている言語が2つあります。それは、フィンランド語と隣国のスウェーデンのスウェーデン語です。
しかし、実際使われているのがどっちでしょうか?フィンランド旅行する場合はフィンランド語を習うべきか、スウェーデン語でもいけるのか、この記事で様々な観点からこのような質問に答えを出します。
フィンランド語とスウェーデン語の割合
フィンランドで使用されている言語のTOP5は次の表の通りです。2019年の情報です。
位置 | 言語 | 母語話者の数 | 人口での割合 |
第1位 | フィンランド語 | 4,822,690 | 87% |
第2位 | スウェーデン語 | 287,954 | 5.2% |
第3位 | ロシア語 | 81,606 | 1.5% |
第4位 | エストニア語 | 49,427 | 0.9% |
第5位 | アラビア語 | 31,920 | 0.6% |
フィンランド語を母語として話す人は90パーセントに近く、競争もなく一番大きいグループですね。フィンランド語の次には当然フィランドのもう1つの公用語のスウェーデン語がきますが、フィンランド語に比べて圧倒的に少ないですね。
ちなみに、フィンランドで英語を母語として話す人は2019年末の情報によると、22,052人で7位です。以前フィンランド人の英語力について書いたので、興味があればぜひ見ていただきたいです。結果からいうと英語を母語として話す人の割合を考えるとフィンランド人の英語力が異常かもしれません。
豆知識ですが、フィンランドで日本語を母語として話す人は1600人くらいです。意外と多いのかもしれません。
それでは、フィンランド人は2つの公用語のスウェーデン語とフィンランド語はどうやって覚えるのでしょうか?
母語ではない言語を小学校から勉強
フィンランド語を母語とする人、要するにフィンランド人のマジョリティーは小学校6年生になってからスウェーデン語の勉強を始めます。およそ11歳の年齢でもう1つの公用語を習い始めるということです。必須科目なのでみんなが勉強しなければいけません。
6年生は遅いと思う人がいるかもしれませんが、実はこのタイミングは以前よりも早いです。
私が子供だったころ、スウェーデン語の授業は中学校に入ってから始まりました。小学校3年生から選択科目として学ぶことができる学校もありましたが、私の学校の場合は選択科目が1つだけで、ドイツ語の方が人気が集まったのでドイツ語になりました。
要するに、スウェーデン語を学びたくても中学校まで待たないといけませんでした。
スウェーデン系フィンランド人も、フィンランド語を勉強しなければいけません。フィンランド語の勉強も小学校で始まりますが、住む地域によっては学校に入る前にフィンランド語を習う人もいます。西フィンランドだとスウェーデン語だけでも生活できますが、他の地域では少し不便です。
高校や専門学校にもスウェーデン語やフィンランド語の授業があり、大学にも受けなければならない授業があります。法律によってフィンランドの公用語両方の教育が義務つけられているので、国民のみんなが勉強しなければならないです。
学校以外でスウェーデン語を使うのか?
最初に言いたいことは、私は学校でスウェーデン語を学ぶのがとても好きでした。
子供の頃にテレビで日本アニメのセーラームーンがスウェーデン語の吹き替えで放送されていたので、それでスウェーデン語に興味を持ち始めました。このため、中学校の最初の授業からスウェーデン語の勉強にとても熱心でした。好きで勉強していたので成績もそれなりに良かったし、高校に入っても義務ではない、楽しいと思えるスウェーデン語の選択授業を全部受けました。会話の授業も受けて、それなりに良い発音も身につけることができたと思います。
では、学校で6年ほどかけて習ったスウェーデン語ですが、日々の生活で役に立ったのでしょうか?仕事で使ったり、街でスウェーデン語しか話せない人に会ったりするのでしょうか?
実は、学校以外の場所でスウェーデン語を一度も使ったことがありません。
一回もスウェーデン語で道案内したこともありません。食べ物をスウェーデンで注文したことや、何度も練習したスウェーデン語での自己紹介すらしたことがありません。
全くと言って良いほどスウェーデン語は私の私生活で役に立っていません。
スウェーデン人の友達が初めてできたのも日本留学のときです。しかし、この友達の場合はスウェーデン語ではなく、日本語で会話をしているのでスウェーデン語を使う必要がないです。冗談としてたまにスウェーデン語で一言を言うくらいで、実際に何か言いたい時は日本語か英語で話します。
もちろん、私の経験はフィンランド人のみんなに必ずしも当てはまるわけではないですが、私の友達にも同じ経験している人がとても多くいます。
地域によってスウェーデン語は必須
西フィンランドではスウェーデン語ができないと困る地域があります。逆にもう一つの公用語のフィンランド語では困難を感じる地域もあるようです。
さらに、首都のヘルシンキでも接客業で働くと、いずれスウェーデン語を使わないといけない時が来るはずです。区役所などで働いていたら、スウェーデン語を母語として話すお客様がいたらスウェーデン語を使わなければいけません。公務員などはスウェーデン語を母語とする人に対して、同じ言葉で接客をしなければなりません。
基本ルールとしてはみんながスウェーデン語ができないといけないということです。
と言いながらも、実際のところもう一つの公用語のスウェーデン語ができない人がとても多いです。
私のように学校を卒業してからスウェーデン語を使う機会がなく、徐々に習ったことが頭から離れていってしまいます。仮に一年に一回くらいスウェーデン語を話す人に会っても、言葉が出なかったり、相手の言葉の意味がわからなかったりすることがとても多いでしょう。
スウェーデン語を習う意味は?
使わない人が多いのに、なんで何年もかけて学校で習うの?と思うかもしれません。実は、フィンランドでもそう考える人が最近多いです。フィンランドのもう一つの公用語のスウェーデン語を選択科目に変えようとする動きもあります。
私はスウェーデン語が好きだったので学校で勉強するのが苦痛ではなかったのですが、選択科目にしてほしい人の気持ちもわかります。全く使うことがないと勉強する時間がもったいないと思ってもしょうがないです。
ただ、スウェーデン語を勉強しなければいけない理由もわかります。スウェーデン語は昔からフィンランドの公用語で、実はフィンランド語が言語としてできる前からスウェーデン語がありました。要するに、フィンランドの母国語としてスウェーデン語の方が歴史が長いです。
そして、スウェーデン語を母語とする人はフィンランド人の5%以上占めるのも事実です。みんながスウェーデン語を勉強しなくなったら、その5パーセントが日常生活でスウェーデン語を完全に使えなくなってしまうかもしれません。家族やスウェーデン系のフィンランド人の友達の間で使うことができても、2つの言語を切り替えて使うことに疲れてしまう人が出てくると思います。子供の教育でスウェーデン語よりフィンランド語を強調してしまうかもしれません。そして、徐々にフィンランドで使われるスウェーデン語が消えていってしまう可能性があります。
フィンランドのスウェーデン語はスウェーデンのスウェーデン語と違う
フィンランドのもう一つの公用語のスウェーデン語を話す人が少なくなったら、とても悲しいです。
その一つの理由は、フィンランドで話されているスウェーデン語は基本的にスウェーデン系フィンランド人しか使いません。
フィンランドで使用されているスウェーデン語はスウェーデン語と言っても、一般的なスウェーデン語とは少し違います。発音の違いもあり、言葉もフィンランド系スウェーデン人しか使わないものがあります。フィンランド語の印象を受けて、フィンランド語とスウェーデン語を混ぜる人も多いです。スウェーデンの友達からすると、とても可愛い言語だそうです。
要するに、フィンランドで使われているスウェーデン語が消えたら、1つの言語がこの世界から消えてしまうことになるのです。
観光客ならスウェーデン語とフィンランド語とどちらを学ぶべき?
ここまで読んだ人はおそらく答えがわかっていると思いますが、一応書いておきます。
まずは、フィンランド人は基本的に英語ができるので、フィンランドへの短期間の旅行なら、フィンランドの公用語のどちらも学ぶ必要がありません。英語ができれば大丈夫です。仮に英語がわからない人に遭遇しても、できる人を探せばいいだけの話です。
しかし、もしどちらかを学びたいと思っていたら、フィンランドが好きなら私がオススメするのはフィンランド語です。逆にもしスウェーデンが好きなら、スウェーデン語を勉強したらいいと思います。言語が好きな人はもちろん両方学んでもいいですが、言語としてはあんまり似ていないので、簡単ではないですね。
まとめ
フィンランドでは2つ公用語があり、ほとんどの国民は2つとも学んだことがあります。できるかどうかは人それぞれですが、スウェーデン語母話者は区役所や病院などではスウェーデン語で接客を受ける権利があるので、少なくともなんとなく話せる人が多くいます。
フィンランドの人口の9割近くがフィンランド語を母語として話すことから、フィンランド語に関しては「できないといけない」というのは常識になっています。ただ、スウェーデン語がコミュニケーションとして多く使われている地域もあることは確かです。
要するに、フィンランド系フィンランド人が多く住んでいる地域ではスウェーデン語はあまり必要ないです。
そして逆に、スウェーデン系フィンランド人が過半数の地域ではスウェーデン語は必要になるかもしれません。
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