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フィンランドの大学の特徴!アカデミッククォーターとは?

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去年、外国からフィンランドに来る留学生の案内役をしていました。そのなかで、色々な質問が来ました。これらの質問を考えてみると、当たり前だと思っていたフィンランドの大学の文化は当たり前ではないことに改めて気づきました。というわけで、この記事ではフィンランドの大学の特徴を紹介します!とりわけフィンランドに留学したい人にとっては貴重な情報だと思います。

ちなみに、私はフィンランドで2つも大学を経験したことがあるので、大学の習慣には詳しいと自負しています。(2回も大学院に行った人ができる自慢はそれぐらいかもしれません笑)

昼休憩は時間割に入っていない

日本では、昼休憩が時間割にありますね。取りたい授業を全部取っても、昼休憩がそれで無くなる訳ではありません。

しかし、フィンランドの大学ではまずこのような時間割が存在しません。授業の時間は授業ごとに決まっていて、朝から夕方までの授業さえあります。中途半端な時間に始まったり、中途半端な時間に終わったりすることも普通にあります。

そして、時間割も決まっていなければ、ちゃんとした昼休憩もないです。

私はつい最近までフィンランドの大学で心理学を勉強していて、6時間や8時間という長い授業が多かったので、授業の中にしっかり昼休憩やその他の休憩が設けられていました。しかし、昔ヘルシンキ大学で授業から授業へと飛び込んだりした時は、昼休憩が30分間だけだった時が多かったです。朝10時からの授業は11時45分に終わって、そのあと急いでカフェテリアに行きます。12時15分から次の授業が始まるので、カフェテリアで並んでいる時間はとにかくないです。長い列ができていればカフェテリアに入った瞬間に諦めて、スーパーに走っていったことがよくありました。

まとめると、時間をかけてゆっくり昼ご飯を食べたい方は12時からの授業を取らないことをおすすめします。特に授業の建物が離れている場合は食べる時間がほとんどないので、注意しましょう。

アカデミッククォーターの存在

ヨーロッパの様々な国の大学における古くからある習慣の「アカデミッククォーター」を知っていますか?簡単に説明すると、大学の講義や授業は規定上の開始時間よりも15分遅く始まるということです。

例えば、コースのスケジュールでは講義の開始時間が9時になっているとしましょう。しかし、実際に講義が始まるのは9時ぴったりではなく、9時15分です。この習慣は、フィンランドでは「akateeminen vartti」と呼ばれています。

この習慣の歴史的な由来として、中世時代に一般人が時計を持っていなかったことが挙げられています。街には公共な時計があり、その時計は9時や10時など、ぴったりの時間に大きく鳴りました。時計が鳴ったら時間だということがわかって、その時間に予定がある人は集まることができたと言われています。

ちなみに、授業は15分前に終わることも多いです。この習慣はどのくらい広まっているかわかりませんが、少なくともヘルシンキ大学に通っていた頃に授業が15分前に終わることが一般的でした。

ちなみに、私が今通っている大学は少し変わっていて、授業や講義にアカデミッククォーターがない時もたまにあります。前もってこのことが分からないときもあるので、基本的に規定上の開始時間に行くようにしています。リモート授業の場合は大して気にならないですが、対面の授業の時は毎回15分早く到着するのは少し嫌ですね…

パーティーにはオーバーオールがマスト

フィンランドの大学生活の特徴といえば、専攻ごとに色が異なるオーバーオールですね!

このオーバーオールは入学した後に専攻の団体などから購入し、その後の大学のパーティーには、専攻のオーバーオールを着て参加します。洋服のテーマが決まったパーティーやフォーマルな祝いは例外ですが、それ以外は基本的に大学時代の最初から最後まで、洋服が決まっています。オーバーオールの色やデザインで専攻している科目がある程度分かるので、街で歩いていると同じ専攻の人かどうかわかります。パーティー専用のちょっとふざけた制服のようなものですね!

ちなみに、オーバーオールと言っても基本的にオーバーオールとして着る人はいません。上着は着ずにパンツの方だけを履いて、袖を腰に巻くことが一般的です。

そして、そのまま着るだけという訳にはいきません。しっかり「haalarimerkki」を集めてオーバーオールに付けないと意味がないのです!「Haalarimerkki」は洋服に付ける布でできたタグ、ラベルのことです。

私が持っている唯一の「haalarimerkki」(パッチ)です。あまりイベントに行かなかったので一枚しか持ってないです。笑

デザインが異なるものがたくさんあり、自分の好みや意見を表すことに使う人が多いです。イベントに行くともらえることもあるので、「このイベント行ったよ」という証にもなっています。さらに、単純に好きな物のラベル、動物やキャラ物などを貼る人もいます。以前友達と日本で買い物をしたときにも、その友達がオーバーオールのためにラベルを買っていました。

そのままだとあまり個性のないオーバーオールを、ラベルで隠すことが基本中の基本ですね。

ちなみに、この記事の著者はオーバーオールを持っているものの、一回も外で着たことがありません。ラベルを付けたこともありません。おそらくこのせいで私のことを「つまらない人」だと思った人もいたので、真似することをおすすめしません。

あと、私のオーバーオールも無駄になった訳ではありません。家の壁にペンキを塗っていたときなどに作業服としてとても役に立ちました!笑

大学のオーバーオールの使い方

「Sitsit」や「Appro」など、変わったイベントが多い

フィンランドでは大学の学費が無料です。とはいえ、お金やキャリアのためにアルバイトをしている人が多く、大学生活もそれほど暇ではないです。しかし忙しさの反面、楽しいイベントがたくさん開催されます。このイベントは大学の様々な団体が開催し、学生によって開催されるものが多いです。サークルがない分、専攻科目の学生団体のイベントなどがとても盛り上がります。

イベントは色々ありますが、そのうち少し特殊なイベントを2つ紹介します。

1つ目は、「Appro」です。「Appro」はバーオリエンテーリングのイベントです。飲み屋から飲み屋へ行って、一杯を飲んでから次の店に移動するという仕組みです。一杯飲むごとにスタンプをもらい、最後にスタンプの数で表彰をもらいます。オーバーオールのラベルをもらうことも多いです。

ちなみに、イベントの名前の由来は「Approbatur」というもので、これはフィンランドでは成績名として使われているものです。「Approbatur」はギリギリ合格したレベルの成績で、日本語の「可」と同じような感じでしょう。初めて「Appro」に参加する人は十分飲めばこの「Approbatur」という成績をもらいます。次に同じイベントに参加すると、もっといい成績を獲得することができて、最終的には「tohtori」(博士)や「emeritus」(名誉教授)など獲得できます。要するに、大学に通うことで貰う学位をお酒で獲得するということです。(笑)

次に紹介したいイベントは「Sitsit」です。画像検索をすると分かると思いますが、こちらは一見するとフォーマルなイベントです。フォーマルな服を着ることが一般的で、とても礼儀正しくマナーを守って行動します。

しかし、「Sitsit」は表面だけフォーマルで、内実はフォーマルではありません。「Appro」と同じようにお酒を飲むことがメインになっています。お酒を飲むときの歌「juomalaulu」を歌い、お酒を飲みます。さらに、テーブルマナーやその他の厳しいマナーを破ってしまうと、罰を受けなければいけません。罰としてお酒を飲まなければいけないことがよくあるそうです。

ということで、基本的にどのイベントも目的はお酒を飲むことです。お酒は飲まなくてもいいという、うわべのルールはありますが、実際は(専攻によってですが)お酒を飲まない人がほとんどいません。

多数派にとって、このようなイベントは楽しく開催されるたびに待ち遠しい祝いものですが、少し暗い一面も話すと、このようなイベントがトラウマになっている人もいます。特に「Sitsit」ではトラウマになるほど酷い罰を与えることがたまにあるそうで、恥ずかしい思いをすることがあります。ただ、最近ではこのような問題が注目を浴びているので、しないように自覚している人もほとんどかと思います。

学生の中ではなんだかんだで「参加しないとつまらない人」という考え方があったりしてプレッシャーになるかもしれませんが、参加したくないと思ったらしなくていいと思います。さらに、「Sitsit」などで罰を与えられてそれをやりたくないと思ったら断っていいです。それで仲間外れにされるわけではないし、それでも楽しいフィンランドの大学・留学生生活を送ることができます。はっきり言って、無理してまで参加するイベントはありません!

教授と学生は公平な立場

大学で講義をする人は研究を重ねてきた教授がほとんどですね。様々なものに詳しく、知識にあふれている人たちですね。

しかし、一般の学生よりその話題に知識があると言っても、その知識を単に学生に伝達されるというわけではありません。学生も教授に意見を主張したり、疑問を持ったことがあれば尋ねたりします。教授が持っているものは覚えるべき「正しい知識」ではなく、単なる一つの観点であり、その観点に疑問を持ってもいいです。

要するに、フィンランドでは教授が学生に対して権威をあんまり持たないことが基本です。教授と学生は同レベルの立場で、教授が学生から新しい知識を求めることもあります。相互に情報交換や意見疎通をするのが大学の理想的な形だと思います。

私も以前心理学の研究をした時に、担当教授に「面白い情報ですね」や「知らなかった!」と言われたり、教授も知らなかった情報や新しい観点を紹介したりしました。

ちなみに、教授と学生の間では下の名前で呼び合うことが一般的です。教授が学生を下の名前で呼ぶこともあれば、学生が教授を下の名前で呼ぶこともあります。逆にどちらの場合も苗字で呼ぶことはとても珍しいです。教授へのメールも、他の学生に送った時のメールとそれほど丁寧さは変わりません。

さいごに

フィンランドの大学文化や生活について色々と書きましたが、いかがだったでしょうか?もし読者さんにフィンランドで留学したことがある人や、フィンランド留学を考えている人がいたらぜひコメント欄にご意見・ご経験など書いてください。それでは、もいもい!

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