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「世界一幸せな国」フィンランドの社会問題

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日本のメディアでは、フィンランドは夢の国のように報じられます。社会福祉も優れていて、格差もなく、育児休暇制度もとてもいい。しかし、フィンランドは本当にどの視点から見ても暮らしやすい国なのでしょうか?

この記事では、日本ではそれほど報道されないであろう、フィンランドの社会問題を取り上げます。フィンランドが総合的に良い国かはさておき、残念ながらどんな国でも問題はあるのです。

失業率が高い

日本の失業率は2,6パーセント(総務省、2022年5月)。これに対して、フィンランドの失業率は2022年の2月の時点で6.7パーセント。日本に比べると高い数値です。

特に問題視されるのは、長期的失業と若年失業です。18〜24歳の失業率は2021年の情報によると、14%と高めです。不況期間の1993年の36%に比べれば低いですが、2008年の8.8%に比べると比較的に高いということが分かります。2021年のヘルシンキ新聞にも若年層失業率の増加について記事があり、失業者の3割近くが18〜24歳だそうです。

失業率を下げるための役所として、ハローワークのようなTE-toimisto(訳してTEオフィス)があります。特に若い人の失業を防ぐための支援が整っています。とはいえ、大都市以外の街や田舎の方に行くと、どんなに頑張っても仕事がないという状況につまずいてしまいます。

ちなみに、失業率の数字を見る際に考慮してもらいたいのは、フィンランドでは日本のように専業主婦になる人が少ないという事実です。共働きをしようとすることがほとんどです。つまり、家に小さな子供がいる女性でもこの失業率の数値に加えられているので、そこは日本と違うかもしれません。

人種差別が意外とある

EUがフィンランドで行った人種差別調査では、アフリカ系住民の63パーセントが人種差別を経験したことがあると回答しました。EU全体の平均は30パーセントなので、フィンランドの63パーセントという数値はとても高いです。

フィンランドはもともとアメリカのような人種の多様性がそれほどなく、多様性に慣れていない人が多いかもしれません。慣れない事による差別は解決すべき問題なのですが、解決への努力が足りないとよくメディアで指摘されます。

移民、とりわけ難民の人々がフィンランド社会に入っていくうえでの問題点として、よく挙げられるのが、言語です。フィンランド人はたいてい英語が使えますが、公共施設での共通言語はフィンランド語とスヴェーデン語のみで、法的な書類などは基本的にフィンランド語で出されます。このような法的書類は、フィンランド生まれ育ちの人にさえわかりにくい言葉遣いで書かれていることがあるので、フィンランド語初心者には大変難しいものです。公共施設では無料で通訳をつけてもらえるといった制度もありますが、まだまだ改善点もたくさんあります。

フィンランド語の問題は、他にもあります。フィンランド語は、どんなに勉強を頑張っても違和感なく流暢に話せるようになるのがとても難しい言語です。文法的な格の複雑さだけでなく、難しい音声もあります。このような理由で、英語を使える大都市の外では、友達作りにも困難を感じる人が多いかと思います。

公用語を変えようとまではいかないにせよ、移民がもう少し定住しやすくなるために、無料のフィンランド語教育といった施策が必要だと思います。

格差社会

フィンランドでは近年、格差がさほど拡大しておりません。アメリカなどに比べると、フィンランドは格差があまりないとも言えます。

ただ、詳しい統計を見ると、1995年に比べて、最富裕層が所得レベルを2倍にしている一方、他の層の所得レベルには特に変化がないそうです。要するに、お金持ちはどんどんお金持ちになっていき、そうでない人の状況には変わりがありません。そして、インフレーションが進む中では、株を持っている人の方が有利な状況になっているので、さらに格差が広がるでしょう。

国の経済成長などを考えると、格差が伸びることはよくないそうです。さらにフィンランド人の分断も考えると、格差社会になっていくのはよくないですね。

ちなみにですが、分断は経済面だけでなく、政治面でも起きています。これについてはまた別の記事で書く予定です。

精神病の多さそしてセラピストの少なさ

フィンランドでは、精神病やその他の精神的な問題は、長きにわたり増加傾向です。正式に診断されないこともあるのではっきりした統計はないですが、下にいくつか統計をあげます。

  • 2019年の情報によると、障害年金 (työkyvyttömyyseläke)の52.5%は、精神的な問題によるものです。
  • 30歳以下の精神的な理由による障害年金の数は、2000年に6301件だったことに対して、2019年に13479件に増加しています。
  • 女性の病気休暇取得理由の第一位は、精神病です。
  • フィンランド人で過労を経験した人は、人口のおよそ25パーセントです。

上記の統計でわかると思いますが、精神病の問題は、フィンランドではとても深刻な問題です。これに加えて、精神科が大混雑しているケースが多く、サイコセラピーには何ヶ月間や何年間も待たないといけない時があります。自殺などのリスクがあると判断されたら早めに精神科で診てもらえますが、そうでなければなかなか予約が取れません。

さらに、サイコセラピストの不足などもあり、薬だけ渡されてそれ以外の治療をなかなかもらえない人が多くいます。この件はメディアでも注目され、様々な政治家にも問題視されているので、早めに改善されるといいですね。

精神病を抱えることによるスティグマ(社会的な烙印づけ)についてですが、日本よりは少ないと思いますが、まだオープンに精神病について話せる時代でもないです。例えば最近、心理士かつ政治家であるJulia Sangervoが自分の若い頃の薬物依存症を公表しましたが、ネガティブなコメントをたくさんもらったそうです。薬物依存だった人は政治家や心理士をしていけないという意見の人もいたそうです。まだまだ精神病への理解が足りないという証拠ですね。

ちなみに精神病以外にも、一般に、公立病院の混雑が問題になっています。コロナも関係していますが、コロナ以前にも国立病院で診てもらうには何週間何ヶ月間も待たないといけない時がありました。特に歯医者の場合は、半年待ちもあり得ないことではないです。

私立病院を選ぶ場合、一回100ユーロ以上かかることが普通で、歯医者だと何百ユーロもかかる可能性あるので、選択肢としてはなかなか考えづらい現状です。

看護師不足

日本と同様に、フィンランドでも少子高齢化が進んでいます。病気になりやすい高齢者が増える一方で、看護師不足が深刻な問題となっています。

理由の一つとしてあげられるのは、看護師の賃金の低さです。仕事はシフト制で夜勤もあり、身体的にも精神的にも大変なのに、看護師の平均的な月収はたった2600ユーロ(35万円ほど)です。夜勤ボーナスもあると3500ほどに上がることもありますが、税金などを引くとそれほど残りません。フィンランド人の感覚からすると、とても苦労に見合った給料ではありません。さらに、看護師に似たような仕事をする「lähihoitaja」の場合、月2000ユーロももらえないケースがよくあります。

これに加えて、コロナワクチンを接種できない、接種したくない人が医療関係の仕事から締め出されたこともあり、さらなる看護師不足につながったそうです。

不足を補うために最近始まったのは、デジタル看護というシステムです。実例として、私の祖母は以前まで毎日看護師に診てもらっていましたが、最近では一日3回タブレット端末でビデオ通話をするので終わりです。祖母によれば、誰もきてくれないことが寂しいですし、薬のチェックも口頭質問で終わってしまうので薬を飲むのうっかり忘れるという時もあるそうです。

さいごに

以上のように、幸福度ランキングで5年連続世界1位になったフィンランドでも、様々な社会問題があります。フィンランドの悪い点にばかり注目してほしいわけではないですが、どんな国でも問題があることを考えていただきたいです。ときに隣の芝生が青く見えるとしても、この世界には完璧な国などないということですね!

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